1979年刊。著者は神戸新聞職員(元日本海軍主計兵)で、海軍艦艇の主計=飯炊きとして徴兵される。酒友たる作家田辺聖子の勧めで刊行された体験的自叙伝である。
真珠湾攻撃・ミッドウェー海戦では戦艦霧島に乗艦していたが、戦闘中は飯炊き兵として食事の準備に勤しみ、戦闘の推移を知ることはほぼなかった。そんな著者も海軍経理学校の試験を突破。その後、南方への転属移動中、乗艦を潜水艦攻撃で撃沈され、その漂流中「フカ」に嚙まれながらも九死に一生を得た。
その変転流浪の模様と実体験が挿絵を交えつつ、ユーモラスに語られる。
鉄拳制裁が日常茶飯事だった点や当時の海軍食の模様はそれはそれで面白い。その意味で海軍の内幕暴露本としてもまた示唆に富むものである。
そういう意味では、本書の感想ではないが、そろそろ海上自衛隊の元隊員による内情暴露本が出てもいいのでは、という気がしないではない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
自叙伝
- 感想投稿日 : 2017年1月24日
- 読了日 : 2017年1月24日
- 本棚登録日 : 2017年1月24日
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