顔面考 (河出文庫 か 17-1)

著者 :
  • 河出書房新社 (2009年7月3日発売)
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感想 : 8
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観相学、替え玉妄想、ドッペルゲンガー、生来性犯罪者、醜形恐怖、人面犬、人面瘡、整形手術、漫画やミステリーに描かれた顔……精神病理やサブカルチャーに見られる人の顔への執拗なまでの関心を精神科医が考察した『顔論』。とても面白く読みました。たかが面の皮一枚、されど面の皮面の皮一枚。顔の美醜にいかに人は振り回され、また無意識に幻想を抱いているのかが窺えます。誰もが持つ「顔」は確かに存在するのに、どうにも捉えどころがない、捕らえようとすればするほど、像が崩れてゆく。本作に登場する「顔面拷問」なるポルノビデオの件は思わず笑ってしまった。まるで情熱のないフェティシズムは酷く滑稽なのだなあと改めて知りました。怖いもの見たさで「顔面拷問」をちょっと見てみたい気もします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2021年1月22日
読了日 : 2021年1月22日
本棚登録日 : 2021年1月22日

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