遠明寺美智之輔は幼い頃から女性として振る舞う方が楽で,美術学校に進学し,高瀬君と油彩コースを履修していたが,作品に惚れた学長の推薦でボザール賞をとり,パリに留学することになった.実際の留学先は本物のエコール・デ・ボザールではなく,アトリエ・デ・ボザールという私塾だった.バイト先で妙な日本人グループに会い,彼らを追ってきた男たちから救うことになり,リトグラフ工房idemとの関わりができた.そこのオーナーのパトリス,従業員で日本人のムギさん,サキさん,その他フランス人の連中と打ち解ける関係になった.idemの3階に居るハルさんと称する人物が世界中で人気の小説<暴れ鮫>の著者 羽生光晴(高橋春子)であり,マネージャーのジンジン(神野仁)の追っかけから逃げている.当初の留学先のボザールに不合格となった美智之輔はidemでリトグラフを本格的に習得するべく努力をしながら,ハルのおもり役も務めることになった.様々な事件が起きてドタバタする話が続くが,ジンジンらから逃げて避暑地のレ・ヴァプールに遊ぶ場面が楽しめた.ハルも美智之輔も男と女の行動がミックスして混乱しながら読んできたが,随所のフランス美術のうんちくが散りばめられていて,著者の知識の一端を垣間見た感じだ.
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2017読破
- 感想投稿日 : 2017年1月21日
- 読了日 : 2017年1月21日
- 本棚登録日 : 2017年1月11日
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