愛するということ 新訳版

  • 紀伊國屋書店 (1991年3月25日発売)
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原題は『The Art Of Loving』
愛とは、特定の人間にたいする関係ではない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性の事である。
エーリッヒ・フロムの代表作で、言わずと知れたロングセラー。手元の単行本で2018年で第38刷。勿論恋愛の指南書のような軽い内容ではありません。
「自分自身の人生・幸福・成長・自由を肯定することは、自分の愛する能力、すなわち気づかい・尊重・責任・理解(知)に根差している。」⇔利己主義(ナルシシズム)からの脱却。
「集中力を身につけるためには、くだらない会話、つまり純粋な会話ではない会話を出来るだけ避けることが大事だ。…」
「くだらない会話を避けることに劣らず重要なのが、悪い仲間を避けるということである。私のいう悪い仲間とは、単に悪意ある破壊的な人たちだけではない。そういう仲間は毒をもっていて、こちらを憂鬱な気分にするから、もちろん彼らを避けるべきだが、それだけでなく、ゾンビのような人、つまりは肉体は生きているが魂は死んでいるような人も避けるべきだ。また、くだらないことばかり考え、くだらないことばかり話すような人間も避けたほうがいい。…」
自分が避けられないように気を付けなければなるまい。

本書内で語られる宗教感は日本人のワタクシには縁遠さを感じざるを得ない部分が多々あるも、人間の内面を痛いほど考察しており、深層心理学のコーナーに置いてあってもおかしくない内容。
煩悩の塊である自分を大いに反省を促させられる(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月12日
読了日 : 2020年9月12日
本棚登録日 : 2020年9月5日

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