悪霊シリーズのリライト版・第三弾。
X文庫版ではただ怪現象が頻繁に起こる、という描写だったのが、リライト版では、
・霊の存在が確認出来て除霊の効果も見られる旧怪談
・霊の存在が不明確だけれども被害が深刻な新怪談
・単なる噂や迷信に過ぎないと思しき枯れ尾花
といった具合で三つに分類される形に。
それぞれ差異のある現象が起こるのは何故なのか、を焦点として話が進むので、旧版よりもミステリ要素が強くなった印象がありました。
これは面白かったです。
追加キャラである中澤女史をはじめとした演劇部の面々が何だかアクのある人々で、出番は少なめでしたが存在感がありました。
正直、この湯浅高校のエピソードはシリーズの中でも印象が薄いような気がして。
というのも、霊に否定的な学校、しかも呪詛絡みの事件、という訳で次作の緑稜高校と似たような舞台設定なんですよね。
しかも次作には安原少年という強烈なキャラがいるし。
今回、湯浅の設定にかなり加筆があるのは、三つの分類を盛り込むだけでなく、緑稜との差別化を計ろうとしたのかな…なんて思ったり。
それから、この話にはずっと、とある疑問を持っていたのですが、リライト版ではその点にフォローが入っていたのがちょっと嬉しかったです。
漫画版はこの話が一番怖いと思う。
いなださんの、天井から降りて来る女の描写には本当にゾッとする。
それからナルが「詐欺の被害に遭わない一番の方法は…」という台詞を言う場面も、漫画版が大好き。
ナルの冷たい笑顔が堪りません。笑
上記の通り、個人的にこの話は印象が薄くて忘れてる部分が多かったのですが、改めて読んでみると伏線がかなり多い話だなぁと思いました。
例えばナルの「このうえ性格までよかったら長生きしない」という一見ただの自画自賛にしか見えない台詞なんかも…ナルは本当はどんな気持ちでこれを口にしていたのか、ちょっと気になる。
他にも色々、割と重要な伏線がさり気なく仕込まれているので、オチを知って読んでいるとニヤニヤしてしまいます。
そういえば最近、ユリ・ゲラー氏をTVでよく見掛ける気がするのですが。
彼を見ると、いつも反射的にこの話を思い出します。
- 感想投稿日 : 2011年10月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年7月5日
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