医師・松本良順を扱った司馬遼太郎氏の「胡蝶の夢」を読んでいたので、ずっと気になっていた本だった。
司馬遼太郎氏のような、人格を浮きださせるような描写はないものの、蘭方医が必然不可欠になっていくのが判る。開国に向かうにつれ、日本でコレラが流行り、対処効果が見られたのは蘭方であり、天然痘にも種痘が効果的となっていく。
この時代の流れは凄い。さらに松本良順の魅力は時代に乗るのでなく、本人に備わった能力から、時代が取り残さなかった、”暁”という存在出している。
幕末から明治になる中、戊辰戦争側について、会津藩、仙台藩へと進み、横浜へ戻っての投獄。才覚と実績あればこそ、日本初の私立病院の設立、初の軍医組織の編成と軍医頭にと、世に埋もれずに再び表舞台へと出てくる。
牛乳普及も良順だったのかと、驚いた。
ドクロのエピソードは、家茂崩御の口止めにオランダ医官ボードウィンに渡した(吉村昭)のか、江戸を脱出する時に医学所に置いてきたものを関寛斎が保管していた{司馬遼太郎)のか、前者は、良順らしい交渉術がでていて、後者は現実的な創造に思えた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2015年8月10日
- 読了日 : 2015年8月10日
- 本棚登録日 : 2015年8月10日
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