〔データブック〕近未来予測2025

  • 早川書房 (2018年5月17日発売)
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感想 : 11

2015年に行われたFuture Agendaを取りまとめた2025年の未来予測。
さまざまな角度から世界がどうなっているか、どうなっていくかを予測と書くとなんだか凄そうだが、情報量は多いものの、あれ、これ、それといった単発の情報をこれでもかと寄せ集めた感じでもある。

技術的にできるようになることと社会一般に受け入れられ、広く普及することには差があるのでその辺りは後者の状態になるまで時差があるし、一部最先端なものがどこかで取り入れられてもそれだけでは社会があまり変わらない気がする。

自分が興味がある分野であれば、来るかもしれない未来とかを想像する一助にはなるかもしれないが、エリート層が目をキラキラさせながら輝ける未来を語り、そうではない層と意識の分断があるまま、なんだか混沌として行きそうな気もする。。なんせ自動運転の未来とトイレの設置による衛生向上が同じ本で語られているのだから。

あとロンドンの地下鉄の駅が東に駅を移動するごとに平均寿命が下がるとか、なかなかショッキングなデータとか出ていて興味深いといえば驚異深いが。

P.102
WASH(Water, sanitation, and hygiene)、すなわち「水」「トイレ」「衛生」の問題を改善すると、住みの健康も改善するという理解が進むにつれ、期待されているのが、統合的な政府機関を設置して様々なプロジェクトにもっと戦略的に投資する試みだ。(中略)個人の習慣の問題に取り組むキャンペーンを展開する場合、トイレの利用が公衆衛生によい影響を与えるといった、重要であっても、個人の実感と遠い利点を訴えたところで効果は低い。もっと高い効果が期待できるのは、トイレの利用によって個人が得られる利便性や社会的評価、安全性などの利益を訴えることだろう。

P.141
第二次世界大戦下、民主主義国家はわずか一一カ国にすぎなかったが、二〇〇〇年頃には、アメリカのシンクタンクであるフリーダム・ハウスは、世界全体の六三パーセントに当たる一二〇カ国を民主主義国家に分類していた。とはいえ今日、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが、「完全な民主主義国家」とみなすのは二〇カ国にすぎない。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドおよび欧州一四ヵ国に、モーリシャスとウルグアイを加えた二〇ヵ国である。そのあとに、「血管のある民主主義国家・地域」として日本や台湾、インドネシア、ギリシャ、イスラエル、メキシコなど五六ヵ国が続き、さらにその下に「混合政治体制(ハイブリッド)国家」三九ヵ国と、「独裁政治体制国家」の五二ヵ国が続く。

P.150
今日の警察が犯罪予測に活用しているのはビッグデータアナリティクスだ。データ分析手法を用いて、大量のデータからなる有用な知識や情報を抽出し、意識っていや予測に役立てる技術については(中略)、ロサンゼルスの街角では一種の犯罪予知をおこなっている。(中略)必要になるのは過去の犯罪現場と犯罪者の居場所のデータであり、あそのうえに天候情報や、おおぜいの人が集まるスポーツイベントなどの開催情報を重ねる。リアルタイムの分析を行うことで、犯罪が発生しそうな場所を特定するのだ。(中略)それでは、実際にどんな効果があっただろうか。パトロールによって、約二割の犯罪を未然に防いだという。

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感想投稿日 : 2022年4月9日
読了日 : 2022年4月9日
本棚登録日 : 2022年4月9日

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