観念論をベースに、知性について考察する書。
知性には2種があるとする。
ひとつは利に立脚する知性、すなわち個体保存と生殖による自己複製の増産につながるような結果を目指す知性。
もうひとつは理に立脚するような知性であり、ここでは個体保存と自己複製の増産という色香は薄くなる。
後者のような形式の知性は生物の発生起源から考えると知性システムの誤用と言わざるを得ない。
少なくともこの誤用を成しうるのは少なくとも地球においてはヒトのみ、否、ヒトのなかのごく一部の者のみであろう。
後半はショーペンハウエルによる、大衆と誤用的知性を獲得した一部のヒトの差異についての推察が語られる。
大衆と智者の根本的な違いを探求する意でこの書を読んだが、その根本に迫る内容であり、省察の材料として役立つ部分が多かった。
ダーウィンの進化論の根底、すなわち生命の起源の無為性という前提を理解して本書を読むと見通しが良くなるだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月30日
- 読了日 : 2022年8月30日
- 本棚登録日 : 2022年8月30日
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