11のアンソロジー。どれも記憶に残るような短編ばかりだった。
表題作の『楽しい夜』は見事に心を奪われた。女3人の楽しい時間だったはずなのに、ジェーンの身に起きていることが明かされてから、途端に景色が違って見える切ない話だ。病を受け入れるにはまだ早すぎる、その無念が伝わってくる。
『テオ』は神話のようで面白かった。いつか2人で目覚めてほしいと願いたくなる。
『三角形』は悪夢が正夢になったような衝撃で身がすくむ。遠い日の出来事ではなく自分の身に起きたら、と考えずにはいられない展開だった。
『安全航海』は少女のような無邪気さがあって、とてつもなく愛おしさに溢れている。老女たちの交流が、なんだか妙にあたたかい。子どもの頃の話をするところなんか、これが愛なのかしらと思った。魚をリリースして別れを告げるのが、まるで愛する人との別れのシーンのようだった。最期に行き着くところはどんなところだろう、でもきっと祝福に満ちた場所だと信じられる。
この4作が特に好みだった。
- #岸本佐知子
- #マリー=ヘレン・ベルティーノ
- #ルシア・ベルリン
- #ミランダ・ジュライ
- #ジョージ・ソーンダーズ
- #アリッサ・ナッティング
- #ブレット・ロット
- #ジェームズ・ソルター
- #デイヴ・エガーズ
- #エレン・クレイジャズ
- #ラモーナ・オースベル
- #プッシュカート賞
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年4月8日
- 読了日 : 2022年4月7日
- 本棚登録日 : 2022年4月6日
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