焚書がテーマで読書好きとして読んでいて辛くなるシーンがいくつかあった。知を奪うことで支配する世界。知る自由を奪われるのは耐えられない。ただ、それに反発する勇気は私にあるだろうか?とも思う。
登場人物たちと現代人とを重ね合わせた。日々を忙しく過ごし、考える時間を失い視覚刺激の強い映像にのめり込む。時代を超えて共通している点は多く、危ういライン上にいるような気持ちになった。
引用の詩や旧約聖書の一文などを読むと、やはり必要だ、という思いを強くする。この物語の中でも、上層部の人間は知識を得ているのだろう。誰しも平等に謙虚に、学べる機会は失われてはならない。
「頭の中の図書館」という表現や、人を指してまるで本そのものが生きているように言うのも良かった。語り継がれる本という、書物の歴史の原点に戻ってしまったようではあるが、最後モンターグの心に希望が見えて私も救われた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年10月14日
- 読了日 : 2021年10月14日
- 本棚登録日 : 2021年6月10日
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