『開かせていただき光栄です』の続編。またあのみんなに会えるという期待で読み始めた。その中身はあまりにも哀しくてつらい、ナイジェルの半生を辿る物語だった。
知っているようで全然知らない。ベドラム出身であることが判明した瞬間は鳥肌が立った。その内外で起きた非人道的な仕打ちに言葉を失う。目を背けたくなる描写の一つ一つに息を止めて嘆く。
美しいと感じたのはグラス・ハープ。この音色の表現が、私の記憶の中の音と符合して、耳に聞こえてくるようでうっとりとした。
腐敗を少し正し、殺人の罪を自ら負い、カップルは再出発、ベドラムからの解放、判事も元の通り仕事をする。ハッピーエンドだけれど失ったものは大きい。純粋に弟子たちのやり取りを楽しむ日々がもう訪れないことは確かだ。
ナイジェルは死者の世界で満足を得ただろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年3月7日
- 読了日 : 2022年3月7日
- 本棚登録日 : 2022年3月1日
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