グラーレンの逆臣 (角川ビーンズ文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2005年7月30日発売)
3.38
  • (7)
  • (7)
  • (34)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 98
感想 : 13
3

『グラーレンの逆臣』『エルヴァインの末裔』『バルハールの姫君』『カストレーデの皇子』『シェーンベルムの騎士』『ユスティニアの花束』『イシュターナの祝鐘』コラフェリシリーズが終わったからと手を出したアダルシャンシリーズ最終巻までと短編集1冊
 もう最終巻まで読んじゃったのかいなと自分に呆れ気味。

 さて、お話自体は一気に読めるくらい楽しいものでした。こんなに過保護に甘やかされてる男の主人公ってなかなかいないなあと思いますが、本人に甘やかされてる自覚がないのもかわいそうなところ。実際、かなり不幸な生い立ちで現在の境遇も厳しいんですが。
 それでもちゃんと大事にしてくれる人もいるんだけど回りの過保護ぶりがズレすぎで本人が気づかない。回りっていうか全面的に兄上のズレっぷりが悪いんだけれども。だから主人公はわかりやすく好意を向けてくれる人にすぐなつくんだ(笑)。
 だからわかりやすくなついてくれる10歳年下の幼妻の尻にもしかれるし甘くもなろうというもの。10歳差夫婦のやりとりは非常に可愛いです。
 ストーリー自体はわりと深刻な陰謀とか戦争とかがありまして、そっちの展開もなかなか引き込まれます。でも一番最後にして最大の危機の解決法がそうなるんかいと拍子抜け。そういえばこの話、ホームコメディだったね……。だからそれで正しいのかな。まあ12歳のお姫様が主人公を助けようとしても、出来ることが非常に限られてしまうので、お姫様が王子様を助けるという構図を作るには、そういくしかないというのはわかりますが。でも拍子抜け。
 この拍子抜け感には覚えがあると思ったら、あれだ。彩雲国物語。あれも、散々危機感煽っておいて、結局それで解決かと何度か拍子抜けしたことがあるのを思い出しました。奇しくも(?)同じビーンズ文庫。
 こうした物語に、現実的な展開とか悲劇なんて求めないし、夢見がちでもご都合主義でもハッピーエンドにしてくれたほうが、私だってありがたいと思うんですが、それでもなんかもの足りないと思ってしまうのは、ファンがどれほど嘆こうが惜しもうが、ばたばた人が死ぬ物語を読んだ経験があるからでしょうか。三国志とか水滸伝とか平家物語とか銀英伝とか(それ同一なのか)。

 ともかく、年の差夫婦に充分楽しませてもらいました。この後どうなるのか、気になりますが続きはないようです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2008年8月16日
読了日 : 2008年8月16日
本棚登録日 : 2008年8月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする