デボラ・エリスによるアフガニスタン内戦に生きる少女たちの物語。
前作「泥かべの町」が2004年だったので、それから9年を経て最終章にたどりついた。
これまでの3作では、タリバンの勢力拡大による内戦状態に国内外に避難する人々があふれる中、子どもたちだけで生き延びていく姿が痛ましくも逞しかった。
「さすらいの旅」の最後で、主人公パヴァーナが再会した母は、外国の支援を受けキャンプの外に女子教育のための学校を設立している。
しかし、タリバンの女子教育に対する圧力と脅しにより教員も生徒も日に日に減っていく。
そして母はおびき出され、殺害されてしまう。ほぼ無人となった学校は、米軍により誤爆を受け跡形もなくなってしまうが、母の行方を案じて連絡していたウィーラ夫人(国会議員になっていた)の使いが、間一髪で助け出してくれた。
なんとその使いは、あのショーツィアだった。
その後、父のカバンを取り戻しに廃墟と化した学校へ戻ったパヴァーナは、米軍に囚われテロリストの疑いを掛けれてしまう…。
フィクションとはいえ、これも事実に基づいて書かれている。
助けとなるはずの米軍は、アフガニスタンの人々にとってタリバンと変わらない存在に描かれていることが、何よりもこの国の内戦のリアルなのだと思う。
2020.7.23
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
933英米文学
- 感想投稿日 : 2020年7月27日
- 読了日 : 2020年7月23日
- 本棚登録日 : 2020年7月23日
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