フォローしてる方のレビューを読んで、読みたいと思っていた本。初めての作家さん。
どなたかもレビューに書かれていたけれど、表紙の印象から受けるようなほのぼのとしたお話ではなかった。
表紙に描かれている「あかつきん」は、閉店が決まっている暁マーケット(戦後の闇市から続く小さな商店が集まった市場)のゆるキャラ。
ある日、あかつきんがマーケットから失踪してしまうのだが、その後町のあちこちで目撃され、町の住人がその様子をSNSに上げる。「あかつきん」には何か意図があるのだろうか…?
どこにでもあるような町に住む人々の心模様が、丁寧に描かれている。前章の主人公が次章にもチラリと出てくるリレー形式の短編集。そして、必ずどこかに「あかつきん」も登場する。
終盤に近づいて、「あ、この名前、前の方に出てきた!だれだっけ?」みたいな感じでページを行ったり来たりして、見つけてスッキリ!てなことも楽しめた。
それだけ入り組んだ構成を、作者は考えられているんだなぁ…と驚嘆。
どんなに幸せそうに見える人、恵まれて見える人にも心の中に重石のようなモノはある。その大きさ重さは、人それぞれ、重石で抑えているモノも人それぞれだと思うけれど。
格差が広がる世界で、人は他の人の重石には目がいかない。自分の重石ばかりが気になって人を羨み、人を軽んじ…大人の世界がそんなだからスクールカーストもうまれるのだろうな…などと考えてしまった。どうも考えが学校に行き着いてしまうこの頃である。
どなたかも書いていたが、私も「グラニュー糖はキラキラひかる」がとても心に響いた。2019.12.27
- 感想投稿日 : 2019年12月29日
- 読了日 : 2019年12月27日
- 本棚登録日 : 2019年7月26日
みんなの感想をみる