零から0へ

著者 :
  • ポプラ社 (2021年1月14日発売)
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感想 : 22

第33回読書感想画コンクール中学高校の部指定図書
読書感想文じゃなく、読書感想画。
本を読んで、印象に残った場面を絵で表現するというもので、まだあまり知られてないかも…。


零は零戦の零。
ゼロは新幹線ゼロ系のゼロ。

かつて、あの戦争で零戦を開発した人々が、自分達の手によって、多くの未来ある若者を死に追いやったことへの悔恨から、平和を象徴する乗り物を創りたい、と開発に執念を燃やしたのが新幹線ゼロ系。

そのゼロ系がこの世に送り出されるまでの、旧国鉄で開発にあたった人々の苦闘を描いた物語。

登場人物は架空の設定であるが、多くの史実に基づいて書かれている小説。

主人公は、視力が悪い為に戦地に行くことなく終戦を終えた若者。
本人にはその事が悔いとなっており、敗戦後の日本で役に立つ仕事をしたいと、大学を中退して国鉄の研究職に就く。
しかし、そこでは元日本軍で戦闘機などの開発にあたっていた技術者と、従来の国鉄職人が対立する日々があった…。

物心ついた頃には新幹線が走っていたので、開発に元軍人の方たちの平和への願いが込められていたとは、全く知らなかった。

主人公と結婚する事務職員の女性が、満洲からの引き揚げてきた時の話も並行して語られるが、それも残留孤児の方の高齢化に伴い、埋没しつつある話だと思う。

子どもだけでなく、我々の世代も読むべき物語。
2022.1.24

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 913日本の小説
感想投稿日 : 2022年2月20日
読了日 : 2022年1月24日
本棚登録日 : 2022年1月24日

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