生まれたのは日本橋両国の9代続く菓子舗〜創業享保八年の菓子舗・立花屋本店の入り婿だった祖父は八日市場出身の職人だったが,関東大震災に見舞われて立て直し,エンジニア志望だった8人姉弟の長男を9代目にした。戦争で焼かれて商売は復活せず,長男は英文科から小説家を目指し,次男はイラストレーターを目指す。父が結核で死ぬと,暖簾を処分して山の手に移った〜確かに,川向こうは東京の内に入らないという気配があったし,その手前の現東日本橋も彼岸の手前という雰囲気だった。江戸から明治に掛けて繁華街だったというのは作者にとっても意外な発見だったのだろう。家族と親戚との確執を描くというのは冒険だから,筆が滞りがちになるのも納得できる。北杜夫の『楡家のひとびと』にしてもそうだった。エンジニア志望の9代目が自分の息子の手を左右に握って銀座を歩くのが夢だった・・・というのは弟・泰彦氏の証言
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- 感想投稿日 : 2008年1月22日
- 読了日 : 2008年1月22日
- 本棚登録日 : 2008年1月22日
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