ほら吹き茂平

著者 :
  • 祥伝社 (2010年8月31日発売)
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感想 : 15
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なくて七癖あって四十八癖~『ほら吹き茂平』:大工の親方・茂平は会話を面白くするために多少の冗談を混ぜるが、それが大工仕事を拾ってくるのも間違いなく、ボロの物置建て直しを引き受けてきたが、倅は人を回してくれず、嫁が手伝うことに。『千寿庵つれづれ』:向島小梅村の庵に住む尼・浮風は夫の菩提を弔っているだけで正式な僧ではないが、人が慕ってやってくるのは霊が見えるからで、室町の内儀も幼い頃に攫われて殺された娘と散り際の花見にやってくる。『金棒引き』:菓子屋の内儀は確かに噂好きだが、亭主とその友も世間話が好きで、将軍家へ降嫁してきた和宮の噂を拾ってきてほしいと云われる。『せっかち丹治』:大工の丹治が裏長屋に住み自分の家を建てようとしないことを嫌った娘は、長屋の差配が持ってきた大店との縁談が舅姑の世話を焼くためのものだと知って断るが、案の定、その後に決まった嫁もすぐ帰ってきたため、縁談が差配によって蒸し返され、腹を立てた丹治は長屋の連中をすべて新しい長屋へ越す段取りをつけてしまった。『妻恋村から』:上州から庵を訪ねてきた男は三十年前の浅間山の噴火で妻と娘を失い、その後に養子に入って新たな家族を持ったが、遺灰を納める場所を持たなかった。『律儀な男』:醤油酢問屋の養子に入った市兵衛は娘と姑の我が儘に悩まされ、酢の仕入れ先である津までの挨拶の帰りに出会った行き倒れ寸前の夫婦者を救い愚痴を零したことが、芝居茶屋での刺殺事件を起こさせることになるとは思わず、当惑すると同時にほっとしたのも事実だった~そんなに癖が強いとは思わない。江戸の世の中は束縛が強かっただろうなあとは思うけど。千寿庵の話以外は真実みがあり、『律儀な男』の動機がなさそうでありそうなフィクションだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年2月14日
読了日 : 2011年2月13日
本棚登録日 : 2011年2月14日

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