WORLD END ECONOMiCA (1) (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014年12月10日発売)
4.05
  • (17)
  • (14)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 247
感想 : 18
4

「狼と香辛料」が終わり、また支倉凍砂の作品を読みたいと思って手にとった本。
別な世界観をもった物語をどのように紡がれるのかが気になったので読んでみることにした。「狼と香辛料」のような美しい表現や言葉のやり取りが行われるのかと。
読んでみた感想としては、「狼と香辛料」のロレンスとホロのような面白くも美しい言葉のやり取りはほとんどなかった。登場人物たちにそういった状況がないためでもある。
それでも『迷う人を導く英雄のような、力強い一言だった。』というような、支倉凍砂らしい表現は見受けられた。
また、それとは別に物語の内容はとても興味深かった、トレーダーの主人公と数学が得意なヒロイン。主人公は株価の予測を過去のデータから数学で予測出来るのはないか?と考え、それをヒロインに頼んで構築してみると、それは高確率で株価を予測を導き出し始めた。
ちょうど仕事で機械学習に関わっているため、とても興味深く読めた。
機械学習が得意なのは「分類」と「回帰」だ。株価の予測は過去のデータから未来へ続く連続性を見つけて提示する「回帰」である。
機械学習、AIは人にとって変わるのか、という疑問・不安もこの主人公も懐き始める。バートンという登場人物の台詞『コインが裏か表か、それを判断するのは人間だけの特権だ。その特権を機械に分け渡した時、そいつは人間じゃなくなっちまう』も印象的だ。
この780ページにもなる第一巻だが、ホップ・ステップ・ジャンプの「ホップ」でしかない。この先大きな「ジャンプ」をしないといけないのだが、そのための「ステップ」がどのような物語になるのか、気になってしまった。
支倉凍砂の別作品の味見のつもりだっけど、第2巻も読むだろう。

ちなみに、セロー役に声を当てるとしたら藤原啓治さんかな、と読みながらずっと思ってた(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2019年2月18日
読了日 : 2019年2月15日
本棚登録日 : 2019年2月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする