日本三大随筆の一つとされる、鴨長明の作品。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」という、無常観を表した冒頭の文は、有名。
出家・遁世した長明が、これまでに経験した災厄と、現在の自分の閑居の生活から思う仏の教えを綴っている。
災厄として描かれた、大火、竜巻、飢饉、地震の描写は、どれも凄まじい。
特に飢饉の段は、今の日本ではまず起こりえない凄惨な状況が描かれていて、古文といえど読むのが苦しいほどだった。
このような状態のときに、源平の合戦が各地で行われていたということは、如何に庶民と貴族、そして武士との隔たりがあったかを感じずにはいられない。「平家物語」には描写されない世界が、ここにはあった。
文章は簡潔で、流れがあり、とても美しい。意味が分からなくても、とにかく原文を読むといい。
講談社学術文庫の「方丈記」はくどい程に解説があるので、くわし~く内容を読み解きたい人には向いているかも。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
古典
- 感想投稿日 : 2013年7月31日
- 読了日 : 2013年7月31日
- 本棚登録日 : 2013年7月14日
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