民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論

著者 :
  • 小学館 (2010年7月14日発売)
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感想 : 77
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タイトルにある通りに、デフレ不況が叫ばれる日本においての経済解説本(というジャンルがあるのかは、不明ですが。)。
この著者は基本的に好きなので、読み続けています。
『ボーダーレス経済』『道州制』というこれまでのコンセプトに基づいた考察が述べられています。
Windowsが普及して、インターネットが世界の経済の形を変えてしまった。経済という枠での国境は無くなり、資金は国家間を容易に飛び越えていく。
サッチャー改革や、中国の発展に見られるように外国資本を誘引し、増税に頼らない資金の確保が新しい国富論の一つの軸である。同時にこの仕組みは、新興国が先進国を追い越す事も容易にしてしまった。最適なモノを最適な所から最適な価格で調達出来るようになったからである。蓄積でしか得られない経験は、資金で時間を買う事によって代替えが可能になったのである。もはや大量生産という従来の経済モデルでは、日本に勝ち目は無い。質重視で活路を見出す為には、優秀な人材確保が鍵となるが、この部分においてはアジア内においても遅れを取っている現状が記載されている。
中央集権の意思決定の遅い統治スタイルではなく、各地域に即した意思決定が出来るように統治スタイルを変える重要性が説かれている。これが『道州制』のコンセプトから発せられる提言である。
著者の特徴となる激励口調が満載で、非常に国としての危機感が煽られる内容です。中国、韓国、ロシアといった領土問題では四面楚歌の現状では尚更、そう思わされます。
企業参謀で紹介された思考ノウハウ『戦略的自由度』の実例として第四章を読む事も出来ます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済・社会
感想投稿日 : 2012年10月6日
読了日 : 2012年10月6日
本棚登録日 : 2012年10月6日

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