兄弟を亡き者にし、甥っ子にすら手をかけ、王位を簒奪するグロスター公リチャード。良心を垣間見せたと思いきや、それは相手を丸めこむための謀略で、自分の地位に利用できるものはすべて利用する、悪逆の限りをつくします。その悪党っぷりは気持ちのいいくらい(笑)しかし、生まれながらに奇形に生まれ、それを恨みに行動を起こしたらしいので、それまでどのような扱いを受けてきたかは推して知るべし。母親に罵倒されるシーンではちょっとリチャードに同情してしまいました。良心の化身たる亡霊がでてきても、悪を貫く姿はあっぱれです。シェイクスピア劇の登場人物はいつも欠点をもった人物こそ活き活きとしているように感じます。
この物語のリチャード三世は暴君っぷりを発揮してますが、君主として評価している歴史家もいるとか。史実にも興味がわきます。
シェイクスピアの戯曲は生真面目に人生の教訓を読みとるより、機知に富んだ会話や洒落の効いた台詞を味わうのが楽しいです。訳者さんにとってさぞ苦労の多い仕事なんでしょうね、感謝。
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- 感想投稿日 : 2015年5月30日
- 読了日 : 2015年5月30日
- 本棚登録日 : 2015年5月30日
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