『オペラ座の怪人』の作者でも有名なガストン・ルルーの古典ミステリ。
フランスの有数の科学者、スタンガースン博士の城の離れで、娘が襲撃されます。隣りの部屋で悲鳴を聞きつけた父と使用人は娘の寝室に駆けつけますが、部屋には閂がかかっています。窓にも鉄格子が嵌められた密室にもかかわらず、博士たちが扉を打ち破ると中には昏倒した娘だけしかおらず、犯人の姿は消えてしまっています。犯人は誰にも見つからずに脱出不可能な状況で、どのように消えてしまったのか?
なによりも密室からの犯人消失というトリックが興味をそそります。探偵役の記者ルール・タビーユが勝手に調査した材料で推理を進める部分もありますが、主題となっている犯罪については、謎解きまでの描写で十分に推理可能です。いまや本格ミステリで密室ものというと、ポピュラーなジャンルとなっていますが、この作品はその流れを決定づける記念碑的な作品でしょう(たぶん・・・)。
もう一人の探偵役であるラルサンとの推理対決、犯人を四方から追い詰めるものの消え失せてしまう『不可思議な廊下の謎』など、飽きさせない工夫を凝らしてあり、ミステリの醍醐味をたっぷり味わえる作品でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年8月5日
- 読了日 : 2013年8月5日
- 本棚登録日 : 2013年8月3日
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