子の無い人生

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年2月27日発売)
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本棚登録 : 491
感想 : 54
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エッセイですが社会問題に触れている部分が大きいかと、ジャンルは「社会」。

確かに親を3人見送ってみたら、子供は看取り(後始末)要因だなというのはつくづく感じます。
子なき自分は死ぬのはいいけど誰が諸手続きや片付けなどしてくれるのか、放置して置く訳には行かぬ遺体の始末は誰の手に委ねられるのか…何一つ自分でどうにもできないのはもどかしい。
お金で解決と言ってもお金のない人はどうするのか、金で頼んだ人間が自分亡き後本当にきちんとしてくれる信用に足る人間なのか…結局、悩みは根本的には解決しようがありませんね。

でも一つ言えるのは、ここにも書かれているように「老後のために」「自分の成長のために」子供を「創った」と豪語して憚らない人が私の回りにもいますが、そういう風な人間じゃなくて自分は良かったということです。

サカジュンさんは、子供を持たなかった人生を何だか申し訳なく思っておられるようです。世の中は大人になれば子があるのが当たり前、子を持たぬ・持てなかった人でも欲しかった・持ちたかったという人の方が多いのかもしれません。

でも今の世は、子を持つということについて、きちんと考えたことのない人が出来たからといって子を産み、きちんと育てられず虐待したり放置したりしているというのがたくさんあるように自分は感じます(確かに虐待してしまった全ての大人が浅はかだったり愛情が欠落しているわけではないですが)

子がない暮らしをしていると「気楽でいいよね」的なことを良く言われます。心から腹が立ちます。時々見下されている感じも如実に受けます。
どれ程悩み尽くしてコナシ人生を選んだのか、そう言う人にはわかるものかと思います。ま、語れるものでもないので仕方ないですが。

コナシ人生を生きている自分ですので興味を持って手に取りましたが、サカジュンさんの本書のスタンスには共感できないところもかなり多かった。よくこのテーマに切り込んだな、と感嘆しますが、ずーっとモヤモヤしっぱなしでした。
今後の著作にも注目して行きます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2016年7月6日
読了日 : 2016年7月1日
本棚登録日 : 2016年7月1日

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コメント 2件

vilureefさんのコメント
2016/07/07

こんにちは。

この本は読んでいませんが、コメントに大いに共感して出てまいりました(笑)

山口智子の「産まない人生」宣言も記憶に新しいですが、「産まない」、「子の無い」といった選択肢だけが取り上げられて一方的に語られるこの社会に違和感を覚えます。

私は考えた末に「子のある人生」を選択しましたが、これもごく個人的な問題で他人にとやかく言われることではないと思っています。
逆もしかりです。

子を持つ持たないの選択が話題にすらならない世の中はいつくるのでしょうか・・・。

ruko-uさんのコメント
2016/07/09

vilureefさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

本当にvilureefさんがおっしゃるように「産まない」「子の無い」方だけが語られることが当たり前の社会なのですよね。

子供のある方でも、産んではみたもののやはり子供が好きになれなかったとか、子供を持つべきではなかったと悩まれている方も知っています。それもまた人には言いがたい辛さがあるようです。日常会話が誰とでも子供の話にしかならなくて辛いといったような、コナシ族には知りえない状況もあるようです。

大抵子がある人は、またそれはそれでひとくくりにされて語られることも多く…結局女は子を持っても持たずともその問題に終生悩まずには生きられないものなのでしょうかね…

子を持ってよかった、子を持たなくて良かったとどちらにしても、各々の人生を肯定して生きていけるのが一番ですよね…

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