児童図書の世界大会で、異なる国の作家が12歳の子供を対象に書いたホラーストーリーだそうです。うち一編を書いた角野栄子氏の編訳で、6編収録。どれも読み応えのある作品で満足感が高いです。
『幽霊の話(スーザン・スーパー)』
自分と似た境遇の幽霊とパソコンでやりとりしたりテニスを教わったりするうちに、幽霊との関係性もだんだんと変化していって。
『鏡(角野栄子)』鏡の中の自分に、成り代わられてしまったら。鏡の中から助けを求めるのはなかなかに絶望的で恐ろしい。
『首のうしろにおかれた指(マーガレット・マーヒー)』邪悪。イヴォールのひいおばあちゃんのメイはお金があるが倹約家、一方、イヴォールの母は夫の収入以上の生活を望む浪費家だ。そして、イヴォールも有名私立に入りたくてたまらないが、家にはそんなお金はなさそうで。メイが体調を悪くして車椅子になったことで、イヴォールの頭に浮かんだ邪悪な考えとは。邪悪な考えをさも当然のように実行に移す少年の恐ろしさ。そして、訪れる応報の時。怖いものなし
『山(チャールズ・ムンゴシ)』友人といっしょに山を越えた先のバス停に向かうぼく。夜に歩くことになるのだが、友人は迷信深く山を怖がる。そして、現れるのは黒ヤギ。アフリカの作家さんということで、山の迷信なども独特の雰囲気があり面白い。友人のことを馬鹿にしつつも、ぼくも怖がったり迷信を信じていたりと、関係性も面白いです。
『クジラの歌(ウリ・オルレヴ)』好き。祖父には他人を自分の夢に連れて行ってくれる不思議な力があって。祖父と夢の中で体験する出来事はとても魅力的。でも、怖い思いをすることもある。夢と現実の奇妙なリンク亡くなった祖母が夢の中に現れて敵対的なのは怖い。
『眼(キット・ピアスン)』姉妹でおばのもとに滞在する間、妹は、ある人形のことが気になってしまい怖くてたまらない。でも、人形のことを知るうちに人形を救ってあげたいと思うようになる。いい話だ。
- 感想投稿日 : 2021年10月4日
- 読了日 : 2021年10月1日
- 本棚登録日 : 2021年10月1日
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