児童書高学年向け。死者の記憶に触れる力を持つ喘息持ちの少年が、母と一緒に古い屋敷へと引っ越してくる。そこにはあの世に行けない子供たちの幽霊と、そして〈あの人〉が潜んでいた。
独特の世界観に引き込まれる幽霊譚でダークファンタジー。面白かったです。
喘息が苦しそうでつらいです。でも主人公がんばった。目まぐるしい展開の中で、常に流されないで自分の頭で、どうしたらいいかを考えてるんだよね。
母の愛、強い想いがいつしか執着と狂気に変わっている。皆、何かを失っていて、救いを求めているけれど、誰かの大切なものを奪ってまで救いを求めてしまうことは哀しい。それでも、だれかは君のことをみてくれているんだという優しい話でもありました。
(気になった点メモ)敵役となる屋敷に住まう母親の霊が、なんでこんな特別な存在(他の霊を引きとどめエネルギーを奪ったり人に憑依したり)になってしまっているのかは、思いの強さだけで説明されてしまっている気がして、こうして振り返ってみると少し気になった。それともこの世界観ではよくあることなのか。というあたりは、もう少しすっきりしたらよかった。とはいえ、読んでるときは、描写の凄みと怒涛の展開で、ぐいぐい読めてたんですけれども。ね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月3日
- 読了日 : 2021年5月30日
- 本棚登録日 : 2021年5月30日
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