西村賢太の最新作。
6つの短編からなる。
さすがは西村賢太、ぜんぜんブレがない。
青春時代の人間関係をつづった表題作「人もいない春」と「二十三夜」。
同棲相手の秋恵との生活を描いた「乞食の糧途」「赤い脳漿」「昼寝る」など、どれも力作。
どの作品も素晴らしいと思うのは、文章のリズム感。そして、同棲相手と過ごすアパートで繰り広げられる、天国と地獄。
世間の片隅にあるアパートの一室が、無限の広がりを見せる。
日常の些細な出来事が、西村賢太の筆にかかると、滑稽であり、悲しくもあり、愚かでもある。
立川談志が言った「落語とは、人間の業の肯定である」を彷彿とさせる語り口に圧巻。
もっと読んでみたいし、もっと生きて欲しい。
さらなる飛躍に期待します。
女性の中には反感を持たれる方もいるかもしれませんが、是非読んでいただきたいオススメの作家です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2012年1月17日
- 読了日 : 2011年1月5日
- 本棚登録日 : 2012年1月17日
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