メイキング・オブ・勉強の哲学

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年1月26日発売)
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感想 : 27

《占いとは、現実から切断された余白、欠如を提示するものです。占いにおいては、実はそのメッセージがどう解釈されるかは本質的なことではありません。占いは、いまの現実のあっぷあっぷの状況において、さらなる欲望の余地を切り拓くという、ただその一点においてのみ意味があるのです。つまり、人生に空白の次のページを付け加えることこそが占いの本質なのであって、運命は、結局はどうにでも解釈可能なのです。
 だから良い占い師とは、先のことを強くは規定しない占い師でしょうね。人を脅すような占いはもってのほかです。ともかく重要なのは、暫定的に、人生に対する余白を、新規ページを増やすことであり、それがカードを一枚引くということに他ならない。占いのカードを引く瞬間、それは、芸術作品がひとつの有限なものとして成立する瞬間に相当するのです。》(p.154)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年5月21日
読了日 : 2021年5月21日
本棚登録日 : 2021年5月21日

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