日本文化における時間と空間

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  • 岩波書店 (2007年3月27日発売)
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4

なんとかなる、宵越しの金は持たない。
今まで何とかなってきた日本だが、どうにかならなそうなこれならの日本、世界で内と外の概念と区別を取り払い活躍できる時代になるのか?
個人的には国や国境を超えて活躍する1割の個人と9割の日本に囚われる集団になりそうな未来が来そう。そんな事を本書を読んで感じた。
急な外圧が有ればコロッと向く方向が変わる日本なだけに早めにその痛みを伴う変化がある方が、むしろ幸せなのかもしれないなと思った


一章 時間の類型

始めと終わりがある時間はユダヤキリスト教的世界の特徴
ヘレニズムは別。

日本とも対照的。

仏教は半ば循環的、半ば直線的。
輪廻は繰り返す、しかし今の生と次の生は違う。

2章
言語表現と音楽に対し脳の別の部位で反応。
西洋近代おくらべれば日本は全体の構造よりも瞬間の音色や間を重視する。

戦慄は多声的でなく、単線的。しかし音色に詰まっている。

絵巻物、現在の連鎖

音楽でも絵画でも今の強調。全体よりも部分。

宵越しの金を持たない。
一瞬の辛味の激しいわさび。

今にフォーカスして体制を変える必要がない?
今の日本もそう?

第2部 1章 空間の類型

軍事力だけで長く維持された帝国はない。
異民族や異文化を支配するために、物理的な暴力による強制と共に、支配を正当化する言説を必要とする。

ヨーロッパの近代文化の歴史的背景にはヘレニズムとキリスト教。

めも
内と外の概念。ムラ社会。沖縄のうちなーんちゅと内地の概念と似てる?

遠い外部からの訪問者は上か下に位置する。

劣等感を裏返した誇大妄想。
ジャパンアズナンバーワンもそれまでの劣等感の裏返し?
今の日本賛美も?

ーオクの概念。
奥に向かうほど空間の聖性が増す。 オクとは運動の方向性。

私的生活空間の秘密性は空間の閉鎖性。
ムラ境や国境の閉鎖性を生み出したのと同じ社会心理的傾向

ー水平面の強調
世界の宗教建築は縦の天高いものも多い。
神社には塔はない。仏教は外来宗教。
日本舞踊も両足が床を離れない。

ー建増し
NYやパリの計画建築。
京都以外は建て増しでカオス。
象徴するのは地下鉄工事。パリは19世紀末に一挙に作った。

建て増し主義からは小さな空間の嗜好と非対称性の好み。
細部→全体へ向かう。全体→細部ではない。

これが形成されたのは茶室の文化?

2部2章 空間のさまざまな表現

柱と屋根の構造で壁の支えがないため日本は庭があり大きな開口部?

オクと建て増し、神社と武家屋敷

アジアのような広大な砂漠や草原がない。
山や海などの自然は眺める方向で景色が違う。

3章 行動様式
岩倉使節団と遣唐使。
開花と鎖国が交互に。必要になると開国。例えば漢字や明治時代の軍事力など。

集団主義は農工から→高度経済成長の終身雇用の職場まで。


3部
一章 部分と全体

今にフォーカスしてる。
鎌倉時代の絵巻物。

過去や不都合な過去は水に流す。
誠心誠意があれば意図の善悪は気にされないのでは?ー筆者

それぞれの集団から世界を見るのであり、世界の中の日本から見るのではない。

2章
共同体集団の習慣が制度化されて組織されていたのは17世紀後半から20世紀後半に及ぶおよそ300年間。

伊勢参りは現代のデモ?
デモがSNS空間でも起きてる?=Twitter
監視社会の日本の中での変身願望?

共同体は個別的で特殊な価値を持って普遍的価値に対抗するほかはない。
ーそれでもお前は日本人か


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月10日
読了日 : 2022年7月10日
本棚登録日 : 2022年7月10日

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