面白かった。力作である。風が吹けば桶屋がもうかる的なお話を、それぞれの人の感情部分を詳細に語ることでぐいぐい読ませる。貫井さんのことは以前から個人的に「小市民の観察者」と勝手に名づけていたが、ここでもその手腕は見事に発揮され、どこにでもいる人たちのどこにでもある感情の積み重ねは、読んでいる間中「ああ、あるある。」と感じさせられた。
人間が誰しも持っている怠惰な部分や自分勝手な部分やちょっとした悪意や、悪意のない偽善などがこれでもかっ!と描かれているため、人によっては読むことに嫌悪感を感じる人もいるかもしれない。だが、これは他人事ではない。紛れもなく自分のことである。たくさんの人が読まなければならない。と思う。
ただ、展開がやさしすぎてインパクトに欠ける。衝撃度を考えれば、一見何の関係もなさそうな人たちの連続殺人事件の元を辿っていったら実は。。。っていう展開のほうが面白かったかも。あれ?それってアメリカのスリラーみたいになっちゃうかな?w
読書状況:読み終わった
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技あり!
- 感想投稿日 : 2011年11月18日
- 読了日 : 2011年11月18日
- 本棚登録日 : 2011年11月18日
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