周防監督が出会った人々の写真がふんだんに載せられていて、「あーこんな人なんだぁ」と文章だけよりも実感が沸いてドキュメンタリーを演出していて、面白かった。5週間に渡る北米18都市のキャンペーンでの模様やインタビューで構成されていて、読み始めは新鮮さもあって面白いのだが、後半以降は同じことの繰り返しで(キャンペーンだから仕方ないのだが)、だんだんダレル。でも、映画「Shall we ダンス?」をもう一度観たいなと思わせてくれた。
「タイム」誌のキャロル・アレン氏の「日本の社会は生まれた時からどう生きるかレールが敷かれているというイメージがあるのだけど、映画はそれを外れようとしているのでうか」という質問に、周防監督が「そうともえいますが、実はあらかじめ敷かれているレールなどないのだ、というのが僕の考えです。皆はあたかも人生はこんなものだ、と誰かの手ですでに敷かれているレールがあると思い込んでいるだけで、自分の意思でレールを敷こうとしていないのです」(p.460)と応えていて、もっともだなと思う。アメリカに住んでいると、それぞれが、こうしたいんだ、ああしたいんだ、という切望に正直に報いたいと思っていて、そうやって歩んでいる自分にプライドを持つ、という風潮が当たり前だから。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
GI/IARC 日本語文庫
- 感想投稿日 : 2008年9月30日
- 読了日 : 2008年9月30日
- 本棚登録日 : 2008年9月30日
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