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あまり多くは発刊されない機龍警察シリーズ。大体3年くらい待たないと新しい巻は出てこないみたい。前巻(狼眼殺手)ではなんとご本尊の機龍(強植装甲)は出番が一切なかった。作者も少し悩んだのかもしれないがどうやら“科学“があまり得意ではないのだろう。諒衛君 銃器にはちょと詳しいが機械的なモノはダメ という感じがそこはかとなく伝わってくる。いやいいんだ別にそれでも十分面白い作品なのだから。
諒衛の機龍兵物語は語り手がコロコロと変わる。その変わり区切りは ”一行空ける” で始まるのだけれど僕はその一行をしばしば見落としてしまって 読み続けてる途中で あれ? となる。となると仕方ないので少しページを戻って読み直す。本作の今回のメイン語り手は姿警部かな。そしてサブでライザ警部かな。オズノフ警部かもしれないなぁ,って三人全部を候補に挙げたら候補じゃないし。すまぬ。
この語り手がしばしば変わる文体は他にはあまり無いと思う。やはり少し分かりにくいからだろう。そしてどうやら諒衛はこのやり方で自身少し悦に入っているのではなかろうか。が,読者としては分かり易く書いて欲しい。語り手が変わったらすぐ説明すればよい。「姿はそう思った。」と書けばいい。でも諒衛はそれをやらない。やらない事がカッコ良い文体だと思っている。「そんなこと書かなくても一所懸命に読んでくれたら分かるものなのです」と考えているのだろうか。とすると僕は一所懸命には読んでいないことになる。やれやれ。
僕はもちろん書評のプロではないが更に書くとこの ”諒衛-語り手” は途中でしばしば「神の目線」へと変わる。例えば姿の経験と知識では分かりはしない事を良衛は平然と姿に語らせるのだ。これはストーリーに臨場感を持たせるにはたぶん有効な手段で,しかも読んでも違和感は無いのだか,冷静に考えるとこれはかなりまづいことで 極論すると書き方として間違っている!とまで僕は思う。
だから分かりにくいのだとも今更思う。いや何度も書くが決して揶揄はしていない。だって全体としてはそれでもすこぶる面白いからだ。
まあ読書は”作品“に対する個人的好き嫌いが非常に激しい趣味だからどんな趣向があってもよいのではあるが。竜騎兵の物語自体は大変に面白いのでその諒衛の偏屈な思いがもう少し読者寄りに読者想いになってくれればもっと商業的に成功するのでは?と思う。いや誠に高言すまぬ。
この物語の舞台が部隊が件の歴史的悪評高き ”インパール作戦“ の地だから,題名は「白骨街道」。意図は分かるがイマイチ世代的にはどうして急にそこなんだよ!という想いの方が強い。いやはや題名付けは難しいのである。すまぬ。
- 感想投稿日 : 2022年2月19日
- 読了日 : 2022年2月19日
- 本棚登録日 : 2022年2月13日
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