この本に出合えたことが幸せ。
心の底から感動。東京大学の教授である内藤廣氏が書いた著書。深い。構造から見た建築の可能性を歴史を踏まえながら構成材料ごとに見つめる。建築を専門としている人、デザインをしている人に必読だと感じる。
海の博物館の展示等では、蛇の骨のような構造体を用いている。
シドニーのオペラハウスの形態は、構造解析するとき、初めはどうやればよいかわからなかったが、昼食時にオレンジ球面を切りながら、構造解析のインスピレーションを得た。球体の一部と考えれば、構造解析ができる、と。
ガウディ曰く、「オリジナリティとはオリジンに帰ることだ」。
世界貿易センタービルは、外側の外壁で曲げに対する力を負担し、中心部で鉛直力を負担している。チューブ構造だと思っていたので、少し勘違いしていた。
「ヒルティ鋲」、ウチの先生がやっているものが出てきてとても親近感があった。内藤氏によると、納まりが美しくないとのこと。
何年か前の土木のコンクリートのスランプ値は、3~5センチだったことを知る。スランプ値は18センチくらいが当たり前かと思っていたが、全然違った。3~5センチだとどれくらい硬くなるんだろう。
コンクリートを打設しているときに小雨が降ってきたらどうするか?こういう事態に対して明確に物事を考えられることができる人間こそエンジニアと言える。
「メガノソーティプティブ変形」。木材は湿度変動を伴いながら応力がかかり続けると、硬質ゴムのように軟らかくなる。この性質。
構造的に奇抜な建築には、何のために、誰のため、にという精神が欠如している。新しい構造において、本当の意味での建築的な価値とは、「技術と芸術が結び合ったその時代の精神の現れ」のこと。
- 感想投稿日 : 2008年10月28日
- 本棚登録日 : 2010年3月11日
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