話題作だった事と、かなりインパクトある表紙からも
ずっと気になっていた本。
やっと読めました。
ひったくり犯が落としたストラップを手がかりに犯人探しをする正義感の強い女子大生の春風(はるか)、そして聡明な高校生の錬(れん)君。
このふたりはこれから付き合う流れになるのかな…?
などと、呑気にワクワク読み始めたが、探っていくほどにみえてきたのは深い闇。繋がっていく暗い過去。どんどん深刻な重たい内容が加速度を増していき、気がつけば、前のめりで読んでいた。
この本の登場人物は若い人達が多く出てくる。
生い立ちや家庭環境など、どうすることもできない事や、巻き込まれてしまったことなどや、関わってしまったことなどは、どうしようもなくやるせない気持ちになった。
人は弱くて、よくわからないことにも翻弄されてしまって、欲望や自分だけの感覚に陥ったり、それに
たやすく呑み込まれてしまう危うさも持っているものだ。
圧倒的な力を前にしてしまったとき、どうしたらいいのだろうか?
例え、心理学などを学んでも人の心はわからないし、どうしたらいいのか……。
圧倒的な力に抗えるのはどうしたらいいのだろうか……。
まもりたい人がいるかどうかなのだろうか……。
まもりたい人、大切に思える存在がいることはやはり大きなことで、自分の心に、ぶれない軸を作れるのかもしれない…
『中心は暗闇に沈んで何も見えないのにその輪郭だけが強烈なかがやきを放つ』という金環日蝕……。
これ以上はネタバレになるといけないので、
この辺で………。
読みやすいのだが、複雑に絡んだストーリーで、
読んでみると、かなり深刻なテーマの
社会派小説だった。
幾つもの伏線があって、徐々に繋がってくるような
読み応えある一冊だと感じた!
- 感想投稿日 : 2023年6月10日
- 読了日 : 2023年6月7日
- 本棚登録日 : 2023年6月7日
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