産業カウンセラーとして30年以上のキャリアを持つ著者。実際の取り組みの中で得たエッセンスを簡潔にまとめてある良書。最初の一冊としてお勧めできます。
まず、まえがきにおいて、セクハラとパワハラの違いを述べているが、大変わかりやすい。
p4
・セクハラはそもそもが業務に関係のないことなので、そのままセクハラとして相談を進められるが、パワハラは職務目的の指導としての言動の場合が多く、パワハラに当たるか判断が難しいことが多い。
・セクハラ被害者は言いにくいことがあって沈黙がよく見られるのに対し、パワハラ被害者は自分のことをわかってもらおうと次から次へと話してくることが多い。
・セクハラの場合、行為者に"何か誤解されるようなことはありませんでしたか"と聞くと、思い当たることはあると答えることもあるが、パワハラ行為者の場合は普通の指導を行っただけなのになぜかと抵抗を感じやすい。
p14
パワハラ対策を会社の発展に結びつけるには、安全管理やリスク管理の分野で取り入れられている手法が参考になる。
事例から、どういうマネジメントをすればより適切だったのかをかんがえ、そこから学習し、働きやすい職場づくりにつなげていく。裁くことより学ぶことに主眼をおいて対応する。
パワハラ対策が、パワハラかどうかの認定、処分に傾きがちだが、重要なのは、行動の改善、フォローまで行うこと。
競争が激しく成果を求められる企業社会にあって、企業も個人もパワハラで労力を無駄にする余裕はないはず。多様な働き方、価値観、個性の違う人とのぶつかり合いでこそ生産性が高まり、あらたな方向が生まれるはず、との著者の意見に同意です。
- 感想投稿日 : 2016年7月25日
- 読了日 : 2016年7月25日
- 本棚登録日 : 2016年7月25日
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