サッカーの敵

  • 白水社 (2001年3月1日発売)
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感想 : 14
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サイモン・クーパーはフットボール(サッカーのこと)ジャーナリスト。彼の本を読むのはたしか3冊目であるが、いまだ期待を裏切られたことはない。この本も圧倒的に面白いノンフィクションというか、ルポルタージュだった。私は、この読書録で、本の「帯」に文句をつけることが多いのだけれども、この本の帯についても文句をつけたい。●フーリガンより物騒な奴らがいる●「サッカー・アンダーワールド」を暴く驚愕のノンフィクションというのが、この本の帯のうたい文句である。一方で、筆者が書いているのは●これは世界でフットボールが占める地位についての本である。●ぼくの第一の疑問は、フットボールはその国の生活にどのように影響を与えるのか、第二は、その国の生活はフットボールにどのように影響するか、だ。ということであり、実際に取材(22ケ国が取材対象だ)もその線に沿ってなされている。本文の中には、フットボールに付随する利権に群がるロシアのギャングの話が出てきたりもするが、それは、ある国のフットボールと社会の関係の在り様を示す一つのエピソードという位置づけを超えるものではない。どうしたら、上記のようなうたい文句を本の帯に書けるのか、頭をひねらざるを得ない。まぁしかし、そういったことは、この本の面白さを損なうものでは全くないので、本筋の話ではないのだけれども。閑話休題。この本が扱っているのは、1994年のアメリカでのワールドカップ以前の話であり、既に15年以上も前の話である。上記した筆者の疑問に対する筆者自身の回答は、この本には明記されていないけれども、おおよそ、「その国の生活にフットボールが与えている影響、あるいは、その国の生活がフットボールに与えている影響は、思っていたよりも大きかった」ということなのだと思う。それから15年経ってみて、その結論を筆者は変える必要はないように思える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年9月28日
読了日 : 2009年9月28日
本棚登録日 : 2009年9月28日

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