現代語で読むたけくらべ (現代語で読む名作シリーズ 2)

  • 理論社 (2012年8月1日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 20
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シリーズ第2巻は、樋口一葉の『たけくらべ』と『にごりえ』。
どっちも初読だったが、素晴らしい作品だった。
第1巻の森鴎外同様、やっぱり、いつの時代も変わりません。

>たけくらべ
よく、「日本のロミ&ジュリ」と言われているので、そういう悲恋かと思ったら、ちょっと違った。
わがままツンデレお嬢様と草食系男子の、「♪好きだよと言えずに初恋は~」な、甘酸っぱい思春期の初恋物語でした。
なので、最初は「面白くないな」と思いながら読んでいたけれど、終盤で一気に持っていかれた。
解説を読んで、より人物関係や世界観が理解出来ると、胸きゅん(笑)。

>にごりえ
いわゆる、「自分探し」に苦悩する女たちの物語。
遊郭から離れたいけど離れられない女と、その遊女に旦那が肩入れし過ぎたため、すべてを失った女――どっちにも共感できる。
ラストはしっかり書いて欲しいタイプとしては(作者がどう考えて作品を終わらせたか分かるから)、あのようなにごり具合は、読者の想像力を上手に引き出すので、とてもいい。
最近の作品には、ない感じ。その文章力に感動。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2012年9月
感想投稿日 : 2012年10月6日
読了日 : 2012年9月30日
本棚登録日 : 2012年9月29日

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