「超ネット社会」で絶対成功する脳と心のつくり方

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  • PHP研究所 (2010年9月11日発売)
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・人間の脳は、農耕によって長時間の睡眠が可能になった一万年前~5000年前にほぼ進化を終えています。テクノロジーの方が脳の機能を追いかけ、最近ようやく追いつきつつあります。
・脳機能の進化とは一言で言えば、そこに実在しない「情報空間に臨場感を持てるようになること」です。古代インドで言えば、バラモンの高僧や釈迦ぐらいしか臨場感を持てなかった情報空間に今や誰でもテクノロジーの力を借りてアクセスできるようになったのです。これが超ネット社会なのです。
・文字の使用こそ情報空間への第一歩ですが最初に文字を発明したシュメール人は周囲の民族から髪と思われていた可能性が高いと考えられます。
・Web2.0というのは、そもそも存在しません。メディアが捏造したイミのない概念ですから、こういった言葉に惑わされてはいけません。
・インターネットは国防技術としてのネットワークテクノロジー、WebはWorld Wide Webというドキュメント閲覧システムのこと。両者は違う概念です。
・WindowsのOSやクラウド、ツイターなど、いま最先端と呼ばれるテクノロジーも実は60~80年代にコンピューターサイエンティストが開発した古いテクノロジーに過ぎない。
・なぜ古いテクノロジーが広がるかというと米軍の郡、産業界が国防的、ビジネス的に美味しいと目を付け、お金がついたからです。実に恣意的なものですから、最新のテクノロジーを追ってみても何の意味がない。
・デジタルテクノロジーはサイエンティストの娯楽です。遊び以上の意味を読み込むと、本質を見誤ることになる。
・コンピューターのソフトウェアは、人間の脳と心を模倣して作られています。人間の脳の方が完全に近い情報処理システムなのです。
・人間とは進化の過程で手に入れた先天的な情報と生後身につけた後天的な情報が集積した極めて情報的な存在です。
・人間が洗脳に弱いのはまさに情報的存在だからです。コンピュータネットワーク上に情報ウイルスが流されるとそこに強い臨場感を持っている自画や人格は簡単に情報を書き換えられてしまうから、注意が必要なのです。

リアリティの再現としてよく引き合いに出されるのがスカイ・クロラというアニメーションです。この映画では飛行機や背景は立体的なCGで作られていますが、登場人物たちはセル画のアニメーションで描かれています。技術的には全てCGにできたはずなのに、あえて登場人物だけ平面的なセル画にしたのは、人物を立体的なCGにすると臨場感が下がってしまうからです。昔の風刺画も、対象を正確に描くことよりも、特徴を上手く抽出することによってリアリティを再現していました。
・リアリティとして注目されているのは画角の大きさ、インタラクティブ性、知的整合性であったが、小説で感動する女の子もいる。
・これらからリアリティとは「人間脳から臨場感のある記憶を引っ張り出す技術」によって作られるということです。物理に近いかどうかではなく、臨場感のレベルが高いかどうかがリアリティの鍵なのです。
・臨場感さえ感じられればネット空間の人格もまた同じようにリアルになります。
・ネット空間の人格がリアリティを持つぐらいに、我々の情報空間に対する臨場感のレベルがあがっているのですから、我々の情動は情報操作によって極大化され、洗脳を受けるリスクがますます高くなるのは必然です。
・ネット空間には「限界費用・限界効用の概念が働かないこと」が大きな特徴です。コンピューターソフトはいくら生産しても、限界費用は増えませんし、たくさんソフトをもらっても限界効用は低減しません。マイクロソフトやグーグルはこれを活かして成功を遂げた。
・個人がデジタルテクノロジーを利用するのなら、まず自分のゴールが明確でなければなりません。さもないと、道具によってニーズを生み出され、しかもそれに気づかないという状況に陥る。

情報発信と責任は常にワンセットであるべきである。
物理空間の場合、テレビ局や新聞社などのメディア企業が存在し、会社の所在がはっきりしているので仮に個人が責任を負わなくても、責任が宙に浮くことはありません。しかし、ソーシャルメディアを通して発信されたネット空間の情報についてはシステムを運営する会社が責任を負ってくれることはありま線。発信された情報に対する責任は常に発信者個人に帰属します。

・情動を排した、つまりあらゆる洗脳から離れた自分おゴールを設定することが自由になる道です。必要なことは、本当のWant to を見つけること、そのもっとも良い方法は見返りを求めず行為そのものに喜びを求めることです。
・画期的なテクノロジーを発明したコンピュータサイエンティストたちも見返りを求めずただ楽しいからやったという人が大勢います。それが結果として世界に貢献する発明に繋がったりするのです。
・洗脳ではない自分のゴールを見つけるには未来の社会の最適化から逆算して自分に要請される機能を考えることも有効です。社会的要請には我欲が介在しませんから、情動を排除したゴールを設定できます。
・我々の根深い煩悩である、恐怖や不安などの情動から離れてゴールを設定するためには、アンカーの意識化と無力化が有効です。静かに座り、自分がやるべきではない、やるべきであると思っていることを探り出し、それを学んだ状況を思い浮かべてください。その際、恐怖などの記憶がアンカーとなっていることに気づけば、やるべきではないこと、やらなければならないこととその恐怖の記憶のつながりが認識でき、アンカーの効果は薄れ、無力化されます。
・「文字で書かれていることは正しい」という思い込みは根強いものです。しかし、例えば新聞記者は、世の中でもっとも客観的な記事を書く事ができない人です。記者としての信念が強いからです。ネット空間でも文字で書かれていることは正しいという思い込みは同じで匿名情報でさえ信ぴょう性を帯びてしまうことが危険です。
・情報空間を生きる上での大前提はこの世に絶対に正しい情報はひとつもない。できるだけ一時情報に触れてください。自分で現地に行くのが一番ですが、それが無理なら情報の第一発信者に直接話を聞くべきです。
・古典を読むことはますます大切になります。彼らは親や社会の洗脳を克服し、宇宙をリアルに感じてその体験を自分の見解で書いています。それを読むことは抽象度の高い情報空間にアクセスした一時情報の発信者の言葉を直接受け取ることです。
・マスメディアの情報は見ないことです。マスメディアはお金のために動いており、経営を成り立たせることが彼らにとって第一義です。広告主がつかなくなっている近年では、ますますクライアントの言いなりになっています。マスメディアに気になる情報がもしあれば、記者やディレクターのメールアドレスを訪ね、直接聞くことです。
・匿名情報は見てはいけません。自己責任の意識のない情報だからです。しかもそれが集まるとあたかも世論であるかのように影響力を持つから危険なのです。個人情報を明かすのが危険だというのなら、エスクロー機関を作り個人の特定ができるようにすればいいでしょう。
・検索エンジンに頼ってはいけません。まず検索では知識は増えません。あなたは既に知っていることしか、知識とすることができません。1既に知っていることの曖昧性の排除、2知っていることの他の事例の追加、3行き先がわかっているところへの道案内 これ以外に検索エンジンの役割はありません。
・自分の行き先を検索エンジンに尋ねるようなことをすれば、それは物の考え方やじが、人格の構築を検索エンジンに委ねているようなものです。グーグルほどの力があれば、検索順位の操作により、人々の認識をいじることは容易です。
ーーーーー判断に迷ったらグーグルを見る自分を反省。

・文字空間は情報空間への入口です。より高い抽象度で情報空間を認識するには、数学や音楽、あるいはメタ数学など、文字より抽象度の高い記述方法を学び、親しむことが大切です。
・次におすすめするのが瞑想です。瞑想により前頭前野にドーパミンが流れるほど、より高次の情報空間を認識できます。ただ、瞑想には入門的瞑想と本気の瞑想があります。
・入門的瞑想としては、歩行禅、黙って食え瞑想をおすすめします。加えて止観が有効です。前章で述べた「見返りを求めず、純粋に行為を楽しむ」ことは止観そのものです。止観により今の世界の価値観(役に立つかどうか)を超え、自由な発想が得られるでしょう。
・本気の瞑想とは哲学そのものです。宗教、経済、数学など現状のシステムエラーを見つけ、高い視野から新しいシステムを創造すること。つまり情報空間のハッカーになることが超ネット社会で目指すべき生き方です。
・私たちは自分の情報宇宙を高い抽象度で書き換えることで共有スペースである物理宇宙に広がり、世界を変えることが可能です。あなたの脳がすべてを変えるのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年8月5日
読了日 : 2014年8月5日
本棚登録日 : 2014年8月5日

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