第一部の「S・カルマ氏の犯罪」はある日突然名前を失った男が、周りの人間から迫害され、最終的に壁になってしまう話。不条理小説であるカフカ『変身』の壁バージョンだろうか。いや、あちらは目覚めたらいきなり虫になっていた設定なのでちょっと違うか。でもモチーフは近いものを感じる。
第二部の「バベルの塔の狸」は、量子力学の考え方(タイムマシンが出てくるからアインシュタインの相対性理論か?)が所々にみられるのが印象的だけど、それが作品の本質じゃないことは明らか。じゃあ何?って聞かれるとゴニョゴニョだけど・・・
第三部の「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」「事業」は比較的読みやすいけど、それはそれで読後に残るものがあんまり無いという。
何となく凄い作品であることは分かるんだけど、全体を通して『箱男』を上回る難解さで、何を書いてもとんちんかんな感想になりそうで怖い。こういう作品をちゃんと理解して読める人は、きっと頭のつくりが私なんかとは根本的に異なっているのだろうなあ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
その他国内作家
- 感想投稿日 : 2023年10月1日
- 読了日 : 2023年10月1日
- 本棚登録日 : 2023年10月1日
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