なりゆき斎王の入内 ~その正体、さらにも言わず~ (ビーズログ文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/エンターブレイン (2014年8月11日発売)
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感想 : 12
5

【ネタばれ感想注意】

シリーズ2冊目。

今巻は帝と東宮の、父子の確執がテーマでした。
古事記オタクのヒロインらしく、今回も古事記の登場人物に置き換えての推測が興味深かったです。
ラストでは、塔子もとうとう暁の正体を知ります。
蘭陵王の舞を踊る東宮と、その後に仮面を外して正体を明かす一連のシーンがとてもドラマティックで、2巻で1番印象的なシーンとなりました。

東宮呪詛事件も収束し、塔子が入内する迄あと半年となった頃、今上帝の実妹、東宮の叔母で猶母(後見人)でもあるという縋子(しげこ)から呼び出され初対面を果たしますが、何故か気に入られてしまいます。
更に、塔子は宮中内で、東宮が今上帝の子供ではなく現法皇の子供ではないかと公然の秘密として囁かれている事を知ります。
東宮の生母は大層な美女で、現法皇と今上帝が奪い合ったというのでした。

…だから前巻で、暁が自分の出生は複雑だと苦悩していたのですね。
そして、暁の美貌は母親譲りだという事が分かります。
宮中は魑魅魍魎が跋扈する世界とは良く言うけど、こういう話が出てくると本当に複雑怪奇な世界だと思います。
自分の責任ではない出生の疑惑に苦しむ暁が可哀想で、読んでるこちらが哀しくなりました。

東宮妃候補は皇家の塔子と摂関家の姫君がいるという事で、いずれ摂関家の姫君が塔子の恋敵として現れるのかと思うと、今から気が重くなります…。
平安時代の結婚、しかもヒーローがただの貴族ではなく帝や東宮だと、政略的な問題で他に妃を持たなければならないという問題が出てくるのでツライです…。

ストーリーは、塔子が機転を利かし、ひとまず縋子が女帝として即位する事で東宮の妃問題は保留となります。
次巻は再び熊野が舞台のようなので、貴哉の出番と暁の焼き餅が見られるかと思うと楽しみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2016年1月2日
読了日 : 2016年1月2日
本棚登録日 : 2014年8月14日

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