イスラーム生誕 (中公文庫 い 25-2)

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  • 中央公論新社 (1990年8月1日発売)
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感想 : 8
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ユダヤやイスラムなど宗教に興味が出てきて、古本屋でたまたま見つけて何となく買った本でしたが、これが、大当たり! すごく面白い本だった。
しかも文章が熱をもっていて、読ませる。でもわかりやすい。イスラムについて何も知らないわたしにでも読めるくらい。
井筒俊彦さんの本、これからどんどん読んでいこうと思った。
P126 つまり、人間が彼にとってかけがえのない大切なものである自分自身を、そっくり神に引き渡すこと。自分に関わる一切を神の手にゆだねて、なんでも向うのなすまま。これがイスラームという宗教における宗教的実存の最も根本的な姿勢である。そしてこのように自分をすっかり神に任せてしまった人を「ムスリム」という。
P128 ちょうど「イスラーム」に対応する実存的性質をあらわす形容詞が「ムスリム」であるように、「ジャーヒリーヤ」に対応する人間の内的あり方を指す形容詞は「ジャーヒル」である。宗教的に人生の転換点をあらわす「アスラマ」を境として、同じ一人の人が、その境界線の前ではジャーヒル、後はムスリム。自己の全てをあげてそっくりそのまま神に引き渡してしまった人は、それまでの彼には自分でも良そうもできなかったようないろいろな性質が現れて来る。性格も一変するし、行動のパターンも変わる。それに第一、ものの見方が根本的に変わってしまう。そうでなければムスリムではあり得ないのだ。

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感想投稿日 : 2019年10月12日
本棚登録日 : 2019年10月12日

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