少年と犬 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2023年4月5日発売)
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本棚登録 : 356
感想 : 43
4

シェパードの誠実さと、生き物としての温かさが丁寧に描写されていてほっこりした気持ちになる。犬好きにはオススメ。
1匹のシェパードが人との出会いを繰り返して1番出会いたかった人に会いに行く話。人の死と別れを繰り返し、最後に少年と出会った犬の幸せそうな様子に涙が出た。
そしてバトンは渡されたを連想する人もいるかもしれない。

とにかく静かで、吠えず噛まず、じっと進むべき方向だけを見つめる犬と、その犬の眼差しの光を生み出した少年との愛と絆が、物語を形作る。読んでいて胸が温かくなる。

御涙頂戴の胡散臭い感動物語ではないので、平気で人が死んだり犬が飢えたり傷付いたりする描写も出てくる。むしろその現実味が読者を世界に引き込み、読みやすさも抜群にある。
表紙の淡い緑色のように、穏やかで温かく、それでいて静かな物語。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月15日
読了日 : 2023年4月14日
本棚登録日 : 2023年4月14日

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