19世紀末、長期産業不振の中のダブリンの人々の日常を描いた話。
皆鬱屈を抱え込んでいて、無気力感・閉塞感に満ちている。
この作品を象徴する「麻痺」という言葉は正に的を得ている。
ここでいう「麻痺」は、主にかつてイギリスの植民地であったという政治的支配、カトリック支配(及び父権主義)が招く無気力状態のことを指す。
歪みに目を背けた現実逃避もどこかぎこちなさを感じるし、どこか拘束されて枠に捕らわれているように思えた。
著者が執筆当時20代であったというのは驚きだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
イギリス文学
- 感想投稿日 : 2011年5月18日
- 読了日 : 2011年5月18日
- 本棚登録日 : 2011年4月17日
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