企業価値評価 第6版[下]―――バリュエーションの理論と実践

  • ダイヤモンド社 (2016年8月26日発売)
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下巻では、税制、資本構成(資金調達方法)、為替、リースなどの企業財務に影響を及ぼす様々な要因について、各論として解説をしている。

また、インフレが高い新興国での企業評価や、銀行といった資本の扱いが特殊な企業の評価方法なども取り上げられている。

なかでも、M&Aや事業部門の売却について解説をした章は、企業のM&Aについて長くコンサルティングをしてきたマッキンゼーの本であるだけに、非常に興味深かった。

しかし、M&Aや事業の売却においても適正な企業価値評価が必要であることに変わりはなく、その上で、その対象事業のバリュードライバーに影響を及ぼす様々な要因を分析し、自社と他社のどちらがその事業のベスト・オーナーであるかを判断するというのが、鉄則である。

また、企業の規模や資本コストによっても、求められるRIOCは異なり、そういった意味で、ある事業が立ち上げから成長期、安定期へと移っていくなかで事業のベスト・オーナーが変化するのも当然である。

事業の買収だけではなく、売却についても定期的に判断をしながら積極的に進めていくべきという指摘は、印象に残った。

各論の部分は非常に詳細なので、すべての章がすぐに役に立つというわけではないかと思うが、これだけ丁寧に各論も含めてカバーしてくれているのは、大変ありがたいことだと思う。企業価値評価が求められる状況にも様々なケースがあるが、自社のケースに当てはめると有益な部分が必ずあるのではないかと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年3月21日
読了日 : 2021年3月16日
本棚登録日 : 2021年2月4日

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