アリストテレスの入門と思って読んだけど、専門的なテキスト批評や分析の論文が埋め込まれていたりして思ったよりレベルが高かった。アリストテレスの生い立ち・著作・思想史上の影響・用語などをさらったうえで、幅広く数も多い著作を分野ごとに内容と批評をまとめてあって非常に充実した内容。きっちり読み込めれば入門はこれ一冊でいいかも。自分には形而上学のあたりが難しかったので、もう一冊別なものを読もうと思う。
アリストテレスの自然観は自然が合目的的に動いているというものだが、擬人的合目的性(神話につながるような)ではなく、自然的な合目的性であり、その果てに美があり、神学としての「形而上学」につながるのだ、という部分が面白いと思った。不動の動者(起動者)という人間味を欠いた究極存在の概念が現実と切り離されて無味乾燥なように感じていたが、自然観から地続きでそういった思想に至るというのに目を開かれるような思いがした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2024年4月7日
- 読了日 : 2024年4月7日
- 本棚登録日 : 2024年4月7日
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