イスラエルはテルアビブ在住の作家の短編エッセイ集。「七年」とは息子が生まれ、父が死ぬまでの七年間だ。どの話も日常を切り取ったようなもので短くて、ユーモアに満ちていて面白い。著者の日常は、実際に自国が戦争をしていて兵役があり、テロが起き、ミサイルが降ってくる日常である。でもすごく軽妙な語り口で、あくまで軽く受け流していく姿勢が読みやすく、何が起きようが子育てや日々の生活は続いていくし、かえってそういった「日常」が確かに存在するのだということを思わせる内容になっている。しかし著者にはそんな啓蒙じみた考えは一切なさそうなのが良かった。
個人的には、兄が宗教教育から脱落したり、姉が超正統派に転向したりというなかで「神を信じない」著者との多少ぎこちない、それでも相手を尊重した家族付き合いが続いていっている様子が面白かったなと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2023年4月19日
- 読了日 : 2023年4月19日
- 本棚登録日 : 2023年4月19日
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