イスラームの論理と倫理

著者 :
  • 晶文社 (2020年10月2日発売)
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本棚登録 : 113
感想 : 12
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イスラーム研究者界隈有名人のお二人の往復書簡。何年もずっとフォローしているが、もともとTwitterでもお互い名前を出したり出さなかったりしつつバチバチやりあっていて、最近はアフガニスタンのタリバン政権の絡みで全く正反対の主張をツイート・リツイートしあっている。はたして往復書簡なんて成り立つのか?という感じだったけど、やっぱり早々に往復形式は放棄されて同じテーマで書く方式になっていた(笑)。その違いの大きさは鮮烈と言っていいレベルだ。
ハサン中田先生はカリフ制再興のためのポジショントーク的な面をスルーすれば…とはいってもイスラム国はテロをやってない!とかあまりにひどい詭弁も多いのだが、やはり中東の歴史・情勢の分析は素晴らしく勉強になる。飯山さんのわかりやすくデータに基づいた話も面白い。高度な話になって内容について行けなかったらどうしようと思ったがそんなこともなく、楽しく読めた。

これは完全に余談だけど飯山さんの言う通りイスラーム界隈はイスラム擁護派が圧倒的で(自らの研究の意義を証明する必要があるからそうなるのもしょうがないのだが)自分の極端なリベラル的主張を織り込む人も多すぎる。中田先生は今回の話でも主張をのぞかせていたけどコロナ以降しょっちゅう反ワクチンRTしているし、Twitterは苦痛に感じてフォローできる人が少なすぎる。
近年は反イスラム擁護派の池内先生や飯山さんもアンチとやりあって急激におかしくなってしまったし、Twitterは人を暗黒面に落とす何かがあるのだろうかと思わずにはいられない。
今回そういった雑音なしに書籍で落ち着いてお二人の話を読むことができてなんだかほっとしてしまった。また書いてほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2021年11月26日
読了日 : 2021年11月26日
本棚登録日 : 2021年11月26日

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