衝撃的な内容だった。人間として生きる意味を再考させられた。
クローンとして生まれて、どんなに希望を持っても、どんなに教養を身につけても臓器を提供することで死ぬ(殺される)運命にある若者たち…
私はどこかこの小説に登場する人物に違和感を覚える。彼らはクーデターを起こすのでもなくただ生まれた時から周りに決められた自分の運命を受け入れて死んでいくのだ。
ただトミーは違う。マダムやエミリ先生からどんなに努力をしても臓器の提供者として死ぬしかないと聞かされた後、彼は野原で喚き、拳を振り回し、蹴飛ばして荒れ狂うのだ。語り手はその行為を癇癪として非難しているが、私はその行為こそが人間味のある行動に思えた。一見トミーの行動は無駄で幼稚でわがままだと思われるかもしれないが、周りに決められた運命に抵抗しながらもがき生きることが自由なのではないか、人文主義としての生き方ではないかと私は思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年9月12日
- 読了日 : 2015年9月12日
- 本棚登録日 : 2015年9月12日
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