怒り(上) (中公文庫 よ 43-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2016年1月21日発売)
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登場人物が多く出てくるにも関わらず、誰にもさほど共感できないまま終わった気がする。そんな話も珍しく、新鮮だった。この物語の唯一の救いは優馬が直人を自分の母親と同じお墓に入れたことかなーなんて思う。でもそれは読者の私が感じる救いであって、優馬が救われることはないんだろうなーとも思う。お墓に直人の名前と自分の名前が並んで刻まれたときに初めて優馬は救われるのかなぁ。となると、やはり優馬は生きている間は救われないのだろうか。

 洋平と愛子の決断、泉の告白はどうか希望であってほしいと思った。何が怒りになるのか、そしてその怒りを何につなげるのか。人を心から信じることの難しさ、愛する人を守るために愛する人を傷つけなくてはいけない現実。報われてほしいとか、救われてほしいとか、そんな安易な言葉を願えない。怒りは続く、それだけは本当のこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年4月11日
読了日 : 2017年8月11日
本棚登録日 : 2017年9月18日

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