黒く塗れ (文春文庫 う 11-6 髪結い伊三次捕物余話)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年9月5日発売)
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感想 : 41
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面白いだけではないどこか哀愁を感じるシリーズです。
『蓮華往生』では文吉と伊三次とは違い、夫婦になることは許されなかった緑川と喜久壽、その二人の仲を思い悩み寺へ通い詰める緑川の妻、その寺での不思議な出来事に事件性が…という話。
真相を突き止めるために自ら危険な囮となる緑川ですが、喜久壽の心配をよそに緑川が選んだのは妻で、それを目の当たりにした喜久壽はショックだったでしょうね。
『畏れ入谷の』もまた切ない話でした。自分の妻が家計の為に大奥にあがり、将軍に見初められてしまったために別れなければならず、共に想い合っているだけにやり場のない思いがします。
『月に霞はどでごんす』ではお文と伊三次に待望の長男が誕生します。難産でしたが無事に生まれて良かった。
表題作の『黒く塗れ』。タイトルに「ん?」と思ったのですが、まさかそのタイトルが永ちゃんに関係あったとは(笑)。
『慈雨』では掏摸の直次郎に春がきます。伊三次の心配も分かりますが、私は直次郎にチャンスがあっても良いのでは、と思います。だから本当に良かった。
この巻を通して印象に残ったのは不破といなみの夫婦仲の良さでした。お文と伊三次もこれから様々なことを乗り越えてそういう夫婦になっていくのかなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2017年10月25日
読了日 : 2017年10月25日
本棚登録日 : 2017年10月25日

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