素晴らしい小説だった。
人を愛するとはなんと滑稽で、狂おしくて、切なくて、壮大なことなんだろうと思った。
3人の男女を軸に描かれる、様々な人物の様々な愛。
50年貫き通し続ける愛、激しいセックスを通しての愛、夫婦という形式の中で憎んだり生活に疲れたりしながらも続いていく愛、どれも本当の愛だし当人たちは真剣にやっているんだということがユーモアをまじえながら丁寧に描かれている。
いろんな男女が出てくるけど、登場人物らはみんな刹那的な関係でも相手を大事にいつくしめる人たち。例え永遠には続かなくてもその時その人を愛している気持ちは絶対に本物であることは確かなのだと思える小説だった。
いろんな愛を肯定してくれてありがとう。
読んでいたら、自分の愛している男の人のことを想ってなぜかわからないけど涙が出てきた。
愛し合っている人とする、あなたのことが好きで好きでたまらないという気持ちが全身から溢れ出ているようなセックスが、この世で一番の幸せな快楽なのではないかと思う。
さすがガルシアマルケスで、描写が恐ろしく細かいのに全く飽きさせない。
屋敷の中の調度品とか、船の展望台から見える風景とか、普通なら読み飛ばしてしまうような描写もじっくり読みたくなる。
話の筋には関係がない脇役の登場人物の描写やエピソードが抜群に面白くて、それもじっくり読んでしまう。
南米の気だるい空気や少しずつ近代化していってる時代感、内線が繰り返される政治的緊張、この時代にこの場所に生きる人たちの暮らしの様子が生き生きと伝わってくる。
こんなに分厚いのに読んでいてずっと楽しくて、やはりガルシアマルケスは本物のストーリーテラー。
- 感想投稿日 : 2023年11月6日
- 読了日 : 2023年11月6日
- 本棚登録日 : 2023年11月6日
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